★ 研究所だより ★

平成18年7月27日(木)
特別企画「ドイツ国立オペラ劇場専属アーティスト筒井厚子先生のメイク&髪型」
7月27日(木)に、ドイツ国立オペラ劇場の専属アーティストの筒井厚子先生の講習会を開催しました。ミイラのマスク、ルネッサンス期の髪型を地髪セットとメイク、オペラ「眠れる森の美女」の中のカラボスのメイクとグラッツァのつけ方など3テーマを展示いただきました。
ドイツには、ヘアメイクアップアーティストの国家試験があり、6年間学校で技術や歴史などの知識を学ぶそうです。試験のテーマは、ガイコツメイク、グラッ ツァ(人工皮膚をつけて、坊主に見せる方法)のつけ方、歴史上の髪型の地髪セット、マスク作り、ファンタジーメイク(創作メイク)などがあり、そのすべて ができないと資格はとれません。さらに国家資格をとったあと何年も経験を積んでから、また試験を受け、マイスター(Meister:名人、巨匠)の資格が とれるのだそうです。学校の教科書の一部を拝見いたしましたが、各時代によっての服装と髪型、化粧の解説と技術が詳しく書かれていました。
ミイラのマスク
地髪セット
グラッツァのつけ方
カラボスのメイク
台 本を受け取ったら、舞台の時代背景を考え、それに合わせて、ヘアメイクをデザインします。どの化粧品を使って、どのようにするかという細かいデザイン画を つくり、それに基づいてヘアメイクを行います。ドイツのオペラ劇場では、そういったデザイン画が保存されていて、何年、何十年経って、その演目をまた上演 するときに使用するそうです。それだけ、きちんとした知識と技術が必要とされるのだと感じました。ただそれらを習得するのに時間がかからので、後継者が不 足しているという問題もあるそうです。
講習会に参加された方々は、技術者の方が多くいらっしゃいましたので、ご自分の担当する舞台での悩み等の質問が多くございました。日本の舞台でも時代物を かつらではなく、地髪でセットしてメイクを自然にするものも増えてきています。よりきちんとした知識が必要になってきているのだと感じました。筒井先生は 「技術を身につけるのは回数を重ねるしかなく、知識を身につけるのは興味を持って勉強するしかない」とおっしゃっていました。熱意を持って継続することの 重要さを学ぶことができました。また、化粧品を用途に応じて使い分けたり、工夫して使用する大切さもお話されていて、現場でされている技術者の貴重な声を 聞く機会をいただけて、良かったと思います。
(研究所主任 若林あかね)

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